保有株のアステリア(3853)が、2027年3月期第1四半期決算を発表しました。
今回の決算で何といっても目立つのが、営業利益24億5,100万円という数字です。
前年同期の3億1,100万円から大幅な増益となりました。
ただし、今回については営業利益だけを見て「本業が絶好調だった」と判断することはできません。
大きな理由が、アステリアが保有しているSpaceX株の評価益と売却益です。
一方で、SpaceXの利益があまりにも大きいために目立ちませんが、今回の決算を詳しく見ると、アステリアの本業にも良い変化が出ていることが分かりました。
今回はSpaceXと本業を分けて考えてみます。
売上は第1四半期として過去最高
まず本業を見るために、売上と粗利益を確認します。
2027年3月期第1四半期は、
- 売上収益:8億2,400万円
- 売上総利益(粗利益):6億9,600万円
- 営業利益:24億5,100万円
- 親会社株主に帰属する四半期利益:17億3,300万円
となりました。
前年同期は売上7億7,000万円、粗利益6億7,400万円だったため、売上は約7%増、粗利益も約3%増となっています。
会社側も今回の売上について、**「Q1として過去最高の売上収益」**と説明しています。
SpaceXの評価益は売上を増やしているわけではありません。
そのため、売上が前年同期を上回り、過去最高になったことは、本業を見るうえで素直に評価したいところです。
粗利益も増加。ただし粗利率は低下
粗利益についても、
6億7,400万円 → 6億9,600万円
と増加しています。
一方、売上の伸びほど粗利益が伸びていないため、粗利率は前年同期の約87.5%から**84%**へ低下しました。
この粗利率低下については、今回の説明資料だけでは詳しい理由までは分かりません。
今後も84%前後が続くのか、それとも一時的なものなのかは確認していきたいと思います。
本業では積極的な先行投資
もう一つ今回注目したのが販管費です。
販管費は前年同期の5億5,400万円から7億200万円へ増加しました。
内訳を見ると、
- 広告宣伝・販促費:前年同期比 +113.4%
- 業務委託費等:+54.7%
- 研究開発費:+20.9%
- 人件費・採用費:+11.0%
となっています。
会社側は主な増加要因について、Bakusoku.AIなどの新製品に対する研究開発費や広告宣伝・販促費と説明しています。
つまり現在のアステリアは、
売上・粗利益を伸ばしながら、次の成長に向けて積極的にお金を使っている
という状態です。
私はこの先行投資自体は悪いものではないと考えています。
重要なのは、この投資が今後きちんと売上につながるかどうかです。
Bakusoku.AIの売上寄与はこれから
特に注目したいのが、新製品の「Bakusoku.AI」と「Platio Canvas AI」です。
説明資料によると、これらは2026年8月1日発売となっています。
つまり今回の第1四半期には、本格的な売上寄与はまだ入っていないと考えられます。
一方で、研究開発や広告宣伝などの先行投資はすでに増えています。
そう考えると、今後の第2四半期以降では、
「先に増えた費用に対して、新製品の売上がどこまで付いてくるのか」
が非常に重要になりそうです。
SpaceXで約20億円の評価益
そして今回の主役ともいえるのがSpaceXです。
アステリアはSpaceX株について、約20億円の投資有価証券評価益を計上しました。
さらに、別途約4億円の投資有価証券売却益も計上しています。
この影響によって、今回の営業利益は24億5,100万円まで大きく膨らみました。
数字としては非常に大きな利益です。
ただ、ここは本業とは分けて考える必要があります。
SpaceXの評価益が大きいからといって、アステリアのソフトウェア事業が突然24億円稼げるようになったわけではありません。
逆に、SpaceX株の価値が将来下がれば、評価損益が反対方向に働く可能性もあります。
ゴリラ株のときにも似たことがあった
アステリアを以前から見ていると、今回の状況で思い出すのが、過去に保有していたゴリラ・テクノロジー株です。
ゴリラ株の株価が大きく上昇した際にも評価益が膨らみ、アステリアの利益を大きく押し上げることがありました。
しかし、当時は株価上昇による含み益の影響が大きい状態でした。
その後、株価が下落すれば評価額も変化するため、アステリアの利益も大きく振れることになりました。
投資先の株価によって営業利益が大きく動くため、アステリアを見る場合には、以前から「本業」と「投資損益」を分けて考える必要があります。
今回のSpaceXは「売却益」も出ている
ただし、今回のSpaceXにはゴリラ株のときとは違う点もあります。
SpaceXについては約20億円の評価益だけではなく、約4億円の売却益も計上しています。
評価益は将来の評価額によって変動しますが、売却して確定した利益は別です。
そのため私はSpaceXについて、
① 評価益
② 実現した売却益
を分けて考えたいと思います。
さらに本業も加えると、今後アステリアを見る際には、
① ソフトウェア本業の収益力
② SpaceXなどの実現利益
③ SpaceXなど保有資産の評価損益
という3つに分けると分かりやすそうです。
通期営業利益も11億円から15億円へ上方修正
今回、アステリアは2027年3月期の通期営業利益予想についても、
11億円 → 15億円
へ上方修正しました。
第1四半期だけですでに営業利益24億5,100万円となっているので、一見すると不思議な数字にも見えます。
しかし、現在の営業利益にはSpaceX株などの評価損益が大きく含まれているため、単純な進捗率では判断できません。
今後も投資先の評価額によって営業利益が大きく変動する可能性があります。
今回の決算で私が一番評価したいところ
今回の決算ではSpaceXの約20億円の評価益があまりにも大きく、どうしてもそこに目が行ってしまいます。
しかし、私がむしろ注目したいのは、
「SpaceXとは関係なく、本業の売上が第1四半期として過去最高になった」
というところです。
会社自身も今回の第1四半期を、**「増収・増益:ソフトウェア好調+SpaceX評価益」**とまとめています。
売上は増加。
粗利益も増加。
その一方でBakusoku.AIなどへの研究開発・広告宣伝を積極化しています。
そしてSpaceXという大きな資産価値も持っています。
今回のアステリアは、
「SpaceXで営業利益が大幅に増えた決算」
だけではなく、
「本業も少しずつ成長しながら、次の成長に向けた投資を増やしている決算」
と見る方が実態に近いのではないかと思います。
次回決算で確認したいこと
次の第2四半期では、特に次の点を確認したいと思います。
- 売上が引き続き成長するか
- 粗利率84%が改善するか
- Bakusoku.AIなど新製品が売上に寄与するか
- 増加した販管費を本業の粗利益で吸収できるようになるか
- SpaceXの評価損益・売却動向
- その他の投資先の動向
SpaceXの存在によって、今後もアステリアの営業利益はかなり大きく動く可能性があります。
だからこそ、営業利益だけを追うのではなく、売上、粗利益、販管費を見ながら本業の成長を追っていくことが重要だと改めて感じた決算でした。
※本記事は個人的な投資記録・考察であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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