jig.jp(5244)が、2027年3月期の第1四半期決算を発表しました。
私がjig.jpに再び注目した理由の一つが、同社のARグラス「SABERA(サベラ)」です。
これまで当ブログでは、SABERAについて3回にわたって取り上げてきました。
そして今回の決算では、いよいよSABERAの売上が業績に加わるのではないかと注目していました。
しかし結論から言うと、第1四半期にはSABERAの売上はまだ計上されていません。
ただし、これはSABERAが売れていないという意味ではありません。
Makuakeで販売した約2億円分については、製品の発送に合わせて第2四半期以降に売上計上される予定です。
今回は、決算資料から分かったSABERAの現在地を、次の3点を中心に整理します。
- 約1.9億円を販売したが、第1四半期の売上にはまだ入っていない
- 売上よりも先に広告宣伝費などの費用が発生している
- 一般販売と販売店の拡大が、次の成長を左右する
SABERAはMakuakeで約1.9億円を販売
SABERAは、2026年4月20日からMakuakeで先行販売されました。
最終的な応援購入総額は約1億9,300万円、購入者は2,743人となっています。
販売開始から8時間で4,500万円を突破し、最終的には約2億円まで伸びました。
新しく発売されるARグラスとしては、かなり注目を集めたと考えてよいでしょう。
jig.jpの決算説明資料でも、SABERAのMakuakeでの応援購入総額が累計約1.9億円に達したことが紹介されています。
ところが、今回発表された第1四半期決算には、この売上がまだ含まれていません。
理由① 約2億円の売上は製品発送後に計上される
今回の決算を見るうえで、最も重要なのが売上を計上する時期です。
Makuakeでは約1.9億円の購入が集まっていますが、会計上は購入された時点ですぐに売上になるとは限りません。
jig.jpは、製品を発送した段階で売上を計上する予定です。
会社の決算説明資料には、スマート眼鏡事業について、次のような説明があります。
Makuake先行販売分を含む売上高は、製品発送に伴い第2四半期以降に計上予定
また、Makuake先行販売に関係する売上高として、約2億円がまだ第1四半期の業績に含まれていないことも示されています。
つまり、SABERAは売れていないのではなく、売上を計上する前の段階ということです。
第1四半期決算だけを見て「SABERAの売上が見当たらない」と判断してしまうと、事業の進み方を誤解する可能性があります。
約2億円の売上は、今期である2027年3月期の第2四半期以降に加わる予定です。
「来期から売上が加わる」のではなく、「今期の第2四半期以降に加わる」という点には注意が必要です。
理由② 売上よりも先に費用が発生している
第1四半期はSABERAの売上がまだ計上されていませんが、広告宣伝費などの先行投資はすでに発生しています。
これは今回の決算が「増収・減益」になった理由の一つです。
jig.jpの第1四半期業績は、次のようになりました。
- 売上高:41億円(前年同期比10.8%増)
- 営業利益:4億8,400万円(同15.6%減)
- 経常利益:4億6,700万円(同14.7%減)
- 純利益:2億6,400万円(同22.5%減)
売上は増えていますが、利益は前年同期を下回りました。
会社によると、スマート眼鏡事業やVTuber事業などへの新規事業投資は、前年同期より1億1,400万円増加しています。
SABERAについても、第1四半期に広告宣伝費などを計上する一方で、売上は第2四半期以降となります。
簡単に言えば、今回は「費用が先に出て、売上は後から入る」という状態です。
そのため、第1四半期の減益だけを見て、SABERAへの投資が失敗したと判断するのは早いと思います。
一方で、先行投資だから問題ないと決めつけることもできません。
第2四半期以降に予定どおり製品が発送され、売上が計上されるかを確認する必要があります。
さらに重要なのは、約2億円の売上が加わったときに、どれだけ利益が残るかです。
ARグラスは、アプリなどのデジタルサービスとは違い、製品の製造費、輸送費、販売手数料、広告費、サポート費用などがかかります。
売上が増えても利益率が低ければ、jig.jp全体の利益を大きく押し上げるまでには時間がかかります。
次回の決算では、売上額だけでなく利益への影響も見たいところです。
理由③ 一般販売と販路拡大が本当の勝負
Makuakeで約1.9億円を販売したことは、SABERAに一定の需要があることを示しました。
しかし、Makuakeでの先行販売は、新しい商品に関心の高い人が中心です。
SABERAがjig.jpの新しい収益源になれるかどうかは、先行販売が終わった後も継続的に売れるかにかかっています。
jig.jpは、Makuakeでの販売実績を背景に、家電量販店や眼鏡店などへの販売チャネル拡大を進めています。
決算資料の競合比較では、SABERAの一般販売は2026年9月ごろと記載されています。
ARグラスは、実際の重さや見え方、装着感などを文章や動画だけで判断するのが難しい製品です。
そのため、家電量販店や眼鏡店で実物を試せるようになれば、購入を検討する人が増える可能性があります。
一方で、一般販売が始まっても売上がMakuakeほど伸びない可能性もあります。
SABERAの販売価格は税込9万2,400円です。
気軽に購入できる価格ではないため、継続的に販売台数を伸ばすには、翻訳、文字起こし、ナビゲーション、AIアシスタントなどの機能が、実際の生活でどれだけ役立つかが重要になります。
Makuakeで約2億円を販売したことがゴールではありません。
一般販売後も売れ続けるかどうかが、SABERA事業の本当の評価につながります。
約2億円の売上をどう評価するか
SABERAの約2億円という先行販売実績は、決して小さな金額ではありません。
新規事業の最初の製品としては、良いスタートだと思います。
ただし、jig.jpは2027年3月期に165億円の売上高を予想しています。
約2億円は、会社全体の年間売上予想に対して1%強です。
そのため、今回の先行販売分だけでjig.jp全体の業績が大きく変わるわけではありません。
重要なのは、今回の約2億円を一度限りの売上で終わらせず、一般販売、販売店の拡大、次の製品などにつなげられるかです。
SABERAが年間数億円規模の事業にとどまるのか、将来的に10億円以上を狙える事業になるのかによって、投資先としての評価も変わります。
現時点では、まだそこまで判断できる材料はありません。
第1四半期決算で分かったSABERAの現在地
今回の決算で分かったことを整理すると、次のようになります。
まず、SABERAはMakuakeで約1.9億円を販売しましたが、第1四半期にはまだ売上計上されていません。
次に、売上が入る前に広告宣伝費などの先行投資が発生しており、第1四半期の減益要因の一つになっています。
そして、製品発送に伴う売上計上は第2四半期以降になる予定です。
SABERAに対する期待がなくなったわけではありませんが、今回の決算だけでは、事業として成功するかどうかまでは判断できません。
「売れるかどうかを見る段階」から、「売上と利益が実際にどれだけ計上されるかを見る段階」へ進んだと考えています。
今後確認したいポイント
次の決算以降では、次の点を確認したいと思います。
- Makuake先行販売分が予定どおり売上計上されたか
- 製品の発送に遅れが出ていないか
- 約2億円の売上によって、どの程度の利益が出たか
- 一般販売後の販売台数が伸びているか
- 家電量販店や眼鏡店への販路拡大が進んでいるか
- 利用者からどのような評価が出ているか
- 次の製品や法人向け販売につながる動きがあるか
特に重要なのは、先行販売分を除いた一般販売の状況です。
Makuakeで購入した約2,700人への発送だけで終わるのか、その後も販売が続くのかによって、SABERAの将来性は大きく変わります。
まとめ――SABERAの評価は第2四半期以降へ
jig.jpの第1四半期決算では、SABERAの売上はまだ業績に反映されませんでした。
しかし、Makuakeで販売した約2億円分は、製品発送に合わせて第2四半期以降に売上計上される予定です。
第1四半期は広告宣伝費などの費用が先に発生しているため、SABERA事業だけを見れば、売上と費用の時期がずれています。
そのため、今回の決算だけでSABERA事業の良し悪しを判断するのは難しいと思います。
先行販売約1.9億円というスタートは好材料です。
一方で、jig.jp全体の業績を大きく変える事業になるためには、一般販売後も継続して売れる必要があります。
私としては、SABERAへの期待は残しつつも、現時点ではまだ評価を決める段階ではないと考えています。
次の注目点は、第2四半期以降に約2億円の売上がどのように業績へ反映されるか、そして一般販売がどこまで伸びるかです。
次回の決算では、SABERAが「注目を集めた新製品」から「利益を生み出す事業」へ進めるのかを確認したいと思います。
※本記事は個人的な投資記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
参考資料:
jig.jp「2027年3月期 第1四半期決算説明資料」
jig.jp「ARグラスSABERA、販売開始8時間で購入総額4,500万円を突破」



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